高熱の街
体温が四十度を超えたのは何年ぶりだろうか
死ぬかと思った、まじで
身体の色んなところが痛いもんだから、寝ることも出来なかった
しんどい状態を「しんどい」と認識し続けること以外できなかったな
その間はずっと目をつむっていて
ずっとなにか、半透明の箱のようなものがたくさん見えていた
身体のように連なっていた
その箱はくるくると回って、なにかの形を成そうとしていた気がする
それを想像していたわけではなくて、
それが見えてるのが当然だという感じだった気がする
パズルゲームみたいに、「どうしようかな」なんて考えていた
今思うとよくわからないな
攻略法のようなものがあると思っていた
深夜から朝にかけてが一番つらかった
眠いのに眠ることもできない
身体中の痛みとベッドごと傾けられているような気持ちの悪い浮遊感
朝までその感覚を感じながら、
相変わらず瞼の裏では半透明の箱を回していた
その頃にはもう箱はよくわからないほどの量になっていて
身体のようだったそれは大きくなって、
街みたいになっていた
外はもう朝になっていた
おれも何だったのかよくわからないけど、
そのときはひとつも不思議に思わなかったな
懸命に半透明の箱を回していた
高熱の街を敷いていた